Just another WordPress site

最低資本金制度

会社設立時の最低資本金制度はなぜ撤廃されたのか

2006(平成18)年5月の会社法の改正により、現在は資本金が1円でもあれば会社設立をすることができます。しかし、これ以前は債権者を保護することを主な目的として最低資本金制度が設けられており、原則として株式会社設立時には1,000万円、有限会社設立時には300万円を資本金として用意できなければ会社設立をすることができませんでした。

会社法から最低資本金に関する規定が撤廃されたのは、2000年代以降の国内の社会情勢の変化が理由ですが、具体的にはいったいどのような理由なのでしょうか。

会社設立のための資金は発起人で出し合うのが通常であり、発起人の数が多いほど資本金を確保するためのハードルは低くなります。したがって、発起人の数が少ない小規模な会社では、立ち上げにあたっては発起人ひとりひとりが、定款で決めた資本金を満たすために多額のお金をあつめなければならない場合があります。

2000年代に入る頃になると世界的に情報通信技術の発達がすすみ、少額の資金で創業でき、創業後の設備投資もあまり必要とせずにビジネスを展開できる可能性が急速に高まりました。しかし、当時の日本の会社法には最低資本金制度が存在しており、会社設立のためには基準より多い金額を資本金として確保する必要があります。少数精鋭でビジネスを行おうとしている者や、事業資金を確保するためのつてが無い者にとって、最低資本金制度は創業のための障害となっており、問題となっていました。

日本政府はこの問題を解消しようと、2003(平成15)年に新事業創出促進法を改正して最低資本金規制特例制度を設けました。これは、新たに創業しようとしている者が、一定の要件を満たした上で経済産業大臣からの確認をうけていれば、設立から5年後までに最低資本金を確保するという条件つきで会社を設立できる制度で、創設後の3年間で2万7千社を超える会社がこの制度をつかって設立されました。

政府はこの結果から特例制度に一定の成果があったと判断したことに加えて、最低資本金制度が設立時における規制にすぎず、当初の債権者保護の目的を十分に果たしていないことから、2006年の会社法の改正で資本金規制の撤廃が実施されました。

現在、会社設立時の資本金はいくらでも良いことになっていますが、これはあくまで法律の部分における話です。資本金が極端に少ないと、他社との取引に悪影響がでたり、金融機関から資金の融資を十分に受けられなかったり、債務超過のリスクが高くなる可能性があります。会社設立時の資本金はできるだけ潤沢に用意すべきでしょう。